現在、多くの歌手がテレビ・インターネットで活躍しています。
そんな歌手やアーティストに憧れを持つ方も少なくないのではないでしょうか?
歌手になりたいけど何をすればいいのか分からないという方も多いと思います。
そうでないにしろ、歌うことが好きでもっと歌が上手くなりたいという方もたくさんいると思います。
そんな方に向け、音楽系専門学校の職員が徹底解説します!
◆歌が上手いとは?
歌がうまいとはどのようなことをいうのでしょうか?
普段何気なく、「この人歌うまいな」と思うことがあると思いますが、どういったところがそう思わせているのでしょうか?
歌が上手い人の特徴を見ていきましょう!
1 正しい音程がとれる
まずは、音程を外さずきちんと歌えるということです。
ここでは、音程の詳しい説明は省略いたしますが、
「音程を外さない=正しいメロディーを歌えている」になります。
カラオケの採点機などがわかりやすいですね。
正しい音程が取れずに、外してしまうと違和感が生まれてしまいます。
正しい音程が取れるところが歌うまのスタートラインということになります!
2 表現力
次は表現力についてです。
歌というのは、ただ音程を合わせて歌うだけでは上手いとはなりません。
では、どういったところが上手いと思わせるポイントなのか。
それが表現力です。表現力については、上手いと思わせる一番大事なポイントでもありたくさんの表現の仕方があります。
表現力は主に歌い方と声の出し方の2つから生まれるものになります。
歌い方
まずは歌い方になります。
歌が上手い人というのは、一般の方が歌うよりもよりたくさんのことを意識した歌い方をしています。
代表的なものでいうと抑揚になります。
抑揚というのは、声に強弱をつけることによって感情がこもった歌い方になるというものです。
歌詞やメロディーの盛り上がり下がりに合わせて、声の強弱をつけることで感情がこもった素敵な歌に聞こえるようになります。
抑揚を意識するだけで、歌のうまさは一気に変わります。
そこからさらにうまくなるにはテクニックを習得する必要があります。
ビブラートやしゃくり、こぶしやタメなどを効果的に使うことで表現力に加えアレンジをすることができます。
ビブラート | 声を伸ばすポイントの際に声を一定の間隔で震わせるテクニック |
しゃくり | 正しい音程よりも少し低いところから持ち上げるように歌うテクニック |
こぶし | 演歌などでよく使われる、瞬間的に音を上下させるテクニック |
タメ | 少しタメを入れて遅れて歌いだすテクニック |
他にも歌い方によるテクニックはたくさんあります。
こういったテクニックを取り入れた歌い方をすることで、一気に歌の印象が変わります。
声の出し方
声の出し方には種類があります。
音程やメロディー、歌詞に合わせて声の出し方を変えることで歌が1段階上手くなります。
よく知られているのが、裏声です。
実は裏声にも、種類が分かれており、ファルセット/ミックスボイス/ヘッドボイス などがあります。
場面やキーによって使い分けることで、歌の上達につながります。
ものすごく簡潔に分かりやすく言うと、
ファルセットは、皆さんが想像しているいわゆる裏声というものに近い、掠れた息を混ぜたような優しい歌い方になります。
ミックスボイスは、裏声と地声を混ぜた歌い方で、ヘッドボイスは、裏声を力強く響く歌い方をするイメージです。
裏声のほかにも、ウィスパーボイスやエッジボイスなど様々な歌い方があります。
必ず全部習得しなければいけないというわけではなく、自分のスタイルやジャンルに合わせて効果的に取り入れることで、
歌の上達や歌が上手いというところにつながっていきます。
ウィスパーボイス 息を混ぜたような優しい発声方法
エッジボイス 歌いだしなどで喉の奥から濁音を出すような発声方法
ウィスパーボイスやエッジボイスは、MY FIRST STORYのHiroさんがよく楽曲に取り入れていますね。
どのアーティストも全部を使っているわけではなく得意な歌い方や楽曲の雰囲気に合わせて使っているので、
読んでいるあなたもまずは自分が習得すべきものを見つけてみましょう!
自分の聞いている曲や好きなアーティストがどんなジャンルを歌っていて何を取り入れているか調べてみるのをお勧めします!
3 声量
声を聴かせるためには、声量が必要です。
小さな声で歌うと自信がないように聞こえたり、高音が出ずらかったりします。
まずは、堂々と聞こえる声で歌うというのも大切です。
喉から声を出すのではなく、お腹から声を出すという意識をするといいです。
大きな声を出してもばてずにいるには、腹式呼吸が大切です。
腹式呼吸の練習に関しては、後ほど紹介します。
4 リズム・テンポのキープ
曲には、それぞれリズムがあり正しいリズムで歌わなければ、他の部分がよくても下手に聞こえてしまいます。
アレンジとして、部分的に早く歌ったりタメを入れて歌うこともありますが、上級者のテクニックになります。
まずは、原曲に合わせた正しいリズムで歌うことを心がけましょう。
曲に合わせて手拍子をすると、その曲のテンポ(拍)が分かりリズムを取りやすくなります。
それでもテンポをつかむのが難しい苦手という方はメトロノームを使用するといいです。
曲にはそれぞれBPMという1分間の拍数が何回かという数値が決まっています。
これをメトロノームにいれると、手拍子のように音が鳴ってくれます。
無料のアプリでもメトロノームはありますので、ぜひ使ってみてください!
◆どんな練習をすればいいの?
歌が上手くなりたいけど、何をしていいのか分からないという人がたくさんいると思います。
歌が上手くなるためには、色々な練習をしテクニックや音域を広げていく必要があります。
「これを身に付けるにはこう!」といった練習方法をいくつか紹介したいと思います!
◆ボイストレーニング
一概にボイストレーニングといっても色々なものがあり、期待できる効果がそれぞれ違います。
1.腹式呼吸
ボイトレを始める前の準備体操のようなものです。
歌を歌う際は、普段の胸式呼吸ではなく腹式呼吸の方がよいといわれています。
理由は、息の量が調整しやすかったり、ロングトーンが出しやすい、声量アップなどさまざまな効果があるからです。
腹式呼吸は、普段の生活では使わないため意識しないと身に付きません。
練習法Ⅰ
①仰向けになり、リラックスします。(この際、ひざを曲げるのもよいです。)
②お腹に手を当てて、お腹が膨らんだり凹んだりするのを確認します。
③3~5秒くらいかけて息を吸ってお腹を膨らませます。
④今度はゆっくり③の倍以上の時間の時間をかけて息を吐きます。お腹が凹むのを意識しましょう。
最初に取り組む場合は、この練習方法が一番良いです。
睡眠をしているときは、腹式呼吸をしていることが多く、仰向けは腹式呼吸を意識しやすいです。
感覚をつかんできたら、次は立ったまま腹式呼吸をしてみましょう。
やることは同じでそれを立ったまま行います。
注意すべき点は呼吸をする際に、猫背にならないように背筋を伸ばし肩が上がらないように意識しましょう。
2.リップロール
唇を閉じたまま息を吐き細かく震えさせるというボイストレーニングになります。
リップロールは一見、何の練習になってるんだ?と思う方もたくさんいると思います。
リップロールは声帯を動かしたり、息を吐くことで様々な効果に期待ができます。
裏声が出しやすくなる | 裏声はリラックスして息を混ぜるような歌い方で、リップロール中、実はかなり裏声が出しやすい状態です。
この状態を意識することで、裏声を出す感覚を見つけることができます。 |
息の使い方が上手くなる | 声帯を開きながら、息を吐くことで適切な息の量を調整できるようになります。
歌の後半、息が持たなかったりすることが減り最初から最後まで歌いきるスタミナも手に入れることが期待できます。 |
音程が取れるようになる | 意外や意外。実は音程にも関係があります。
声帯を動かすことにより、自分の出したい音が出せるようになっていきます。 |
腹式呼吸の取得 | リップロールで息を吐くことによって腹式呼吸を取得することができます。
腹式呼吸ができるようになると、ロングトーンや声量のアップが期待できるため技術の向上にもつながります。 |
ざっとこんな感じの効果があります!
歌の練習を始めるウォーミングアップで取り入れることをお勧めします!
練習方法
①顔の力を抜いて唇を震えさせます。(うまくできない人は、リラックスしながら唾を飛ばすようなイメージ)
②一定の息の量で出し続けます。息が苦しくなったら鼻から大きく息を吸ってもう一度。(腹式呼吸をイメージしましょう)
③次は強弱をつけながら、強→弱、弱→強、とやってみましょう。②と同じく息が苦しくなったら呼吸します。
④最後は、歌う曲をリップロールで口ずさんでみましょう。特にサビや高音がある箇所だとより良い練習になります。
最初は、難しいと感じると思いますがだんだんできるようになってきます。
③や④が難しい方は、①や②から徐々に練習していき最終的に④までできるようになるといいですね!
同じような練習方法で、タングトリルといった練習方法もあります。(簡潔に言うと巻き舌)
タングトリルの効果は、リップロールとかなり似ており二つ実践してもよいのですが、
リップロールだけでも十分効果があると思います。
タングトリルの練習方法は、リップロールとほとんど同じ感じなのでもし余裕のある方は実践してみてください!
3.ドッグブレス
犬が暑い時に、舌を出して「ハーハー」といった呼吸をすると思います。
あれをドッグブレスといいボイトレに取り入れることで横隔膜を鍛えることができます。
特に、ドッグブレスはビブラートの練習にすごく適しており、私も元々ビブラートがでませんでしたが、
ドッグブレスを始めたらすぐにビブラートが出せるようになってきました。
また、ドッグブレスをすることにより横隔膜が鍛えられ腹式呼吸がしやすくなります。
練習法
①口を軽く開けて、犬のように舌を出します。
②犬の呼吸をイメージしながら、お腹を小刻みに力を入れ「ハーハー」といった感じで息を吐きます。
③苦しくなってきたら腹式呼吸を意識しながら、鼻から息をゆっくり吸います。
ビブラートや腹式呼吸に必要な横隔膜を鍛えることができる + 簡単に実践できる
ので、ボイトレのメニューに加えてみることをお勧めします。
4.発声練習
ここからは、少し本格的に声を出していくことになります。
スケール(音階)に合わせて発声をする練習方法が基礎になります。
発声練習用のスケールはYouTubeなどに男性用、女性用といった感じで投稿がされていたりするのでそれらを活用して練習することをおすすめします!
【男性用】
【女性用】
これらに合わせて、発声練習をすることで音域を広げる練習をしてみてください。
発音に関しては「ハ」「ア」「ナ」や「ギィ」「ブゥ」「ガグ」など擬音を含んだものでそれぞれ練習するとよいです!
ぜひ、練習に取り入れてみてください!
◆実践的な練習
ボイトレを終了したら次は本格的に自分のできないところを克服したり、できることを増やすための練習になります。
人によってやることが違いますが、うまくなるためにこれはしておいた方がよいということを説明します。
1.自分の声を録音して聞く
自分の声を聴くというのは非常に重要です。
なぜなら、自分が今どのレベルにいてどこが課題なのかを客観的に理解するためです。
自分が聞いている声と、相手に聞こえている声には違いがあります。
録音すると自分ってこんな声だったの?と自分の想像している声と違うと思います。
それと同様に、自分の中では課題を克服して歌ったと思っても実はできてなかったなどが結構あります。
課題を見つけて練習する際は、必ず録音して振り返り次の課題を見つけて練習をしましょう!
2.表現力の練習
表現力は前述した通り、声の出し方と歌い方の二つから成り立ちます。
歌い方であれば、抑揚やテクニックを練習することになります。
抑揚ってどうやってつければいいの?
抑揚をつけるためには、その曲の歌詞やメロディーといったところを詳しく知る必要があります。
まずは本家の曲を歌詞を見ながら、強弱をどうつけているか聞いてみましょう。
意識しながら聞き歌うことで自然と抑揚をつけられるようになっていきます。
練習方法としては、このような感じで歌詞をよく見る、メロディーをよく聞き、アクセントを意識する、といったものになります。
テクニックについて
ビブラートに関しては前述している練習法でドッグブレスが非常に効果的です。
しゃくりは、ポルタメントを利用した発声練習が効果的です。
こぶしやタメに関しては、アレンジや使う楽曲が限られてくるのでここでは省略させていただきます。
【しゃくりの練習方法】
ポルタメントとは音を切ることなく音を移動させることを言います。
しゃくりというのは、正しい音程よりも低いところから上にあげるように歌うテクニックです。
ですので練習方法としては、「あ」や「お」など発音する一文字を決めて低いところからだんだんキーを上げるという練習方法になります。
慣れてきたら、実際の楽曲で歌ってみましょう。自然なしゃくりは感情がこもったように聞こえます。
次は、声の出し方についてです。
裏声やミックスボイスその他の声の出し方について
裏声をきれいに出したり、種類を使い分けることによって歌のレベルは格段にアップします。
裏声は、感覚的で出している人が多いので理屈を説明するよりもコツをつかむまで練習してみる方がいいです。
裏声の練習といっても、種類がありそれぞれ違いますがざっくりとした練習は以下の感じになります。
ミックスボイスの練習も一緒にするとよいですね!ミックスボイスを出すためには裏声は必須ですからね。
【ファルセットの練習】
①ハミング(鼻歌)で、裏声を使うパートを歌ってみる。裏声を使う感覚を少しずつ掴みましょう!
②リラックスして喉をあけるイメージで「オ」と発声してみる。口を大きく開けすぎず軽く開くイメージをするときれいに出ます。
③課題曲を見つけて挑戦してみる。自分の出したい裏声がある場合はその人の楽曲が望ましいですね。
【ミックスボイスの練習】
①腹式呼吸をイメージしてリラックスする。
②裏声と同じような声帯の開き方を意識し、お腹から声を出す。発音は最初出しやすいもので大丈夫です。
③課題曲を見つけて挑戦。課題曲は人によって変わりますが、自分の出せるギリギリを目指してみましょう!
ミックスボイスや裏声(ファルセット)などをマスターしたら歌のレベル変わります!
練習に取り入れてみましょう!
次は、エッジボイスやウィスパーボイスです。
他にも声の出し方はいろいろあるのですが、今回は多くのアーティストが使用しているこの二つを紹介します。
まずは、ウィスパーボイスについて。
ウィスパーボイスは、囁くような声であったり吐息が混ざったような歌声を指します。
【ReoNa-ANIMA/THE FIRST TAKE】より
ReoNaさんのANIMAという楽曲ですが、Aメロからサビ前まで美しいくらいのウィスパーボイスを使用しています。
ウィスパーボイスを使うのが非常にうまいアーティストさんです。
ウィスパーボイスと地声を使うことで、感情がこもったような歌い方にすることができます。
では、その練習方法を見ていきましょう。
【ウィスパーボイスの練習法】
①溜息を吐いてみる。
②溜息の中に、声を混ぜてみる。発音は自由ですが「お」などが出しやすいと思います。
③発音した「お」からどんどん吐息を多くしていき最後は吐息だけになるようにする。
④慣れてきたら、吐息の割合を変化させて出してみる。
⑤最後に課題曲を決めて練習してみる。
このような練習が効果的です。
ウィスパーボイスをマスターして、感情がこもった素敵な歌声を手に入れてください!
続いて、エッジボイスについてです。
エッジボイスは声帯を閉じたまま歌うテクニックです。
ガラっとしたような歌声になることにより、何かを訴えかけたりする際やロックに多く使われます。
【MY FIRST STORY – 不可逆リプレイス – Official Music Video】より
MY FIRST STORYのHiroさんは、エッジボイスをよく使います。
イントロの歌いだしはほとんどがエッジボイスになっており、ガラっとした入りをしていますね。
では、どのように練習すればよいのでしょうか?
実際に効果的な練習を見てみましょう。
【エッジボイスの練習方法】
地声から乗除に最大限まで声を低く出してみましょう。発音は「お」がお勧めです。
ガサガサになるまで低く出すその声がエッジボイスになります。これでまずは感覚をつかんでください。
その後は、自由にエッジボイスが出せるようになるために声帯を締める感覚を身に付けます。
声帯をしめるということは口を開けて声を出していない状態になります。
口を軽く開けて声を出してください。その後声を止めた状態が声帯が閉まっているという状態です。
この感覚を掴んでみてください。感覚がつかめたらその状態から歌ってみましょう!
課題曲を見つけて、エッジボイスを出せるまで練習してみよう!
このような流れになります。
エッジボイスもウィスパーボイスと同様に感情がこもったような歌い方ができるので、
自分の好きなジャンルに取り入れられそうな場合は練習してみることをおすすめします!
3.体全体で歌う練習
これに関しては練習方法というよりはアドバイスになりますが、歌というのは体全体を使って歌うものです。
座って歌っていたりするのはあまりお勧めできません。
体で表現しながら、歌うというのも大切なことです。
歌というのは芸術であり、表情やしぐさなども非常に大事です。
歌の練習をするときも、表情は明るく体全体でその曲を表現するようなイメージで歌の練習をしてみてください!
◆練習の目安時間
歌の練習というのは、どのくらいすればいいのか分からないという方が多いと思います。
結論から言うと、練習のし過ぎもあまりよくないので集中して1~2時間程度が理想だと思います。
声が枯れてきそうになったり高音が出ずらくなってきたら、その日の練習はそこまでにしましょう。
声帯は非常にデリケートですので、壊れてしまっては元も子もないです。
目安の時間は、これくらいですが喉の調子と相談しながら日ごとに決めるのがよいです!
◆最後に
ボーカルの練習方法やテクニック・歌い方について解説をさせてもらいました。
ボーカルは、独学ではなかなか難しいことが多いのも事実です。
ミックスボイスなどは特にそうです。「これがミックスボイスだ!」という基準はありません。
判断がなかなか難しくてできてるのか分からないというのもあります。
また、練習法や課題は人それぞれあって一つ一つ潰してくのには時間がかかります。
本気でデビューやプロ活動を目指す方は、ボーカル教室や音楽系専門学校で学ぶことがおすすめです。
専門学校などは特に、独自のデビューシステムがあったり業界とのコネクションにより将来の夢がぐっと近づきます。
本気で目指している方は、一度体験入学やオープンキャンパスに参加してみることお勧めします!
最後に当校は「国際音楽・ダンス・エンタテインメント専門学校」という専門学校になります。
様々な実績ある講師陣の方と、プロデビュー・練習生合格に向けて日々授業をしています。
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