ミュージシャンのレコーディングやライブの現場で活躍するレコーディングエンジニアは、名盤や名演を生むために欠かせない存在です!
レコーディングエンジニアには音響機器やDAWの知識が求められるのはもちろん、多くのミュージシャンやスタッフとコミュニケーションをとるための業界知識も身につける必要があります。
しかし、レコーディングエンジニアになりたいと思っても、どんなスキルが必要で、どのような方法で仕事にできるのかご存じの方は少ないと思われます!
そこで今回は、レコーディングエンジニアの仕事内容やなり方、持っていたい資格などについて、サウンドクリエイター科担任の中野和音が解説いたします!
レコーディングエンジニアとは
レコーディングエンジニアとは、ミュージシャンの演奏やボーカリストの歌を録音したり、音を返したりする職種です。
CDなど音源のレコーディング以外にも、ライブやMAエンジニア(Multi Audio:テレビや映画などで映像の音を調節する仕事)として活躍する場合もあります。
レコーディングエンジニアの仕事
レコーディングエンジニアは、スタジオやライブ会場などで音量や音質を調整したり、レコーディングやミキシングを担当したりすることがおもな仕事です。
ミュージシャンやプロデューサーが望む音で録音やミキシング(楽曲における歌や楽器のバランス調整やエフェクトの調整)を行い、CDやDVDなどパッケージを作る場合には、マスタリング(CDなどを量産する際のマスター音源を作る作業)も行います。
また、録音時にマイクの立て方や本数、楽器の種類などを調整し音作りを行うのもレコーディングエンジニアの仕事です。
一方、MAの仕事に携わる際には、映像内で使用する音源の音量や音質の調整をはじめ、BGMや効果音の選定を行う場合もあります。
レコーディングエンジニアになるには?3つの方法を紹介
レコーディングエンジニアになる方法は、レコーディングスタジオに就職する、レコード会社・プロダクションなどへ就職する、専門学校で学ぶという3種類があります。
レコーディングエンジニアになるために特別な資格や免許はありません。
そのため、アシスタントからキャリアをスタートするケースが多く、最初のうちは雑用が多い点も特徴です。
下積み時代のうちに、機材の使い方やセッティング方法などを覚え、一人前のレコーディングエンジニアをめざすパターンが一般的。レコーディングエンジニアになるための3つの方法について、それぞれ解説します!
1.レコーディングスタジオへ就職
レコーディングエンジニアとしてのキャリアをはじめる場合には、レコーディングスタジオへ就職するのがもっとも一般的な方法です。
就職後は先輩社員のアシスタントなどからスタートし、徐々にキャリアアップをめざします。
現場での雑用や機材のセッティング、操作、機材のセッティング、バラシなどを一通り経験し、はじめてレコーディングエンジニアとして独り立ちができます。
また、スキルアップして多くの現場で経験と実績を積むことで、別の会社からスカウトを受ける可能性もあります。
レコーディングエンジニアとしての高い手腕が認められれば、年収アップも期待できますよー!
2.レコード会社・プロダクションなどへ就職
レコード会社やプロダクションなどへ就職することも、レコーディングエンジニアになる方法のひとつです。
ただし、即戦力を求めているケースが多いので、未経験では厳しいと思われます。
一方でミュージシャンなどとして就職し、その後レコーディングエンジニアへ転向するケースもよくあります。
特にレコード会社へ就職できれば、安定収入が見込めます。しかし、毎年募集をしていないことも多く、狭き門といえます。
3.専門学校で学ぶ
音響に関する知識やレコーディングの経験、Pro ToolsなどのDAWの知識や技術がまったくない方が、いきなりレコーディングスタジオへ就職するのは厳しいです。
そのため、専門学校へ入学して、レコーディングエンジニアに必要な知識やスキルを学んだ後、就職活動を行うほうが賢明です!
専門学校であればレコーディングのノウハウや技術、楽器、ミックス、マスタリングの技術などが体系的に学べ、実技も経験できます。
学校によってはプロスペックの機材が準備されている場合もあるため、貴重な経験が積めるはず。
さらに、レコーディング業界は紹介で就職するケースも多く、優秀な成績の生徒は講師からレコーディングスタジオや放送局などへ推薦してもらえる可能性もあります。
レコーディングエンジニアに求められるスキル・知識
レコーディングエンジニアには多くのスキルや知識が求められます。
レコーディングのスキル
レコーディングエンジニアはDAWを使ったレコーディング、ミキシング、マスタリングに必要なスキル全般を身につけなくてはいけません。
それぞれの業務で使用する機材の把握と使い方を熟知する必要があります。
業務の種類とそれに伴う機材の種類は非常に多いため、一朝一夕ですべてのスキルや知識を身につけることは難しいです。
よって、レコーディングなどの経験を積みながら、少しずつ習得していくほかありません。
楽器の知識
レコーディングエンジニアは、楽器の種類や音についても知っておく必要があります。
また、楽器の奏法やパーツごとの名称なども把握しておかなくてはいけません。
レコーディングをした際、楽器がどのように鳴っていることが正解なのかを判断するためには、CDや録音されたものではなく、楽器本来の生音を知っておく必要があるからです。
また、さまざまな音源をスピーカーで聞き、音の処理やミックス、音の定位などを把握しておくことも必要です。
音楽の知識
レコーディングエンジニアには、音楽に対する深く、広い知識が求められます。
流行りの音やミックス、エフェクト、楽器などを把握するだけでなく、「あの曲の〇〇みたいな音にしたい」というニーズにも応える必要があるため、深い音楽知識が必要なのです!
その際、得意なジャンルを持つのはよいですが、偏り過ぎないように注意しましょう。
さまざまなジャンルの楽曲に精通しておく必要があります。
また、譜面を見ながらレコーディングをするため、完全に読めないまでも拍子を数える程度のスキルは最低限必要です。
業界の知識
スタジオ機材は業界用語が多く、一般人にはわからないものも多いので、代表的なものは理解しておく必要があります。
例えば、多くのスタジオで使用されている定番のマイクは、以下のように呼ばれるケースが多いです。
・NEUMANN U87Ai:はちなな
・SHURE SM58:ごっぱ
・SONY C-38B:さんぱち
・AKG C451B:しごいち
このほかにも有名スタジオで多く利用されている機材についても、どのような業界用語で呼ばれているのか把握しておく必要があります。
また、流行りの機材やプラグイン(DAWで使用できる音源やエフェクターの総称)などの情報を逐一入手し、自身で使っておくことも大切です。
レコーディングエンジニアが持っていると有利な資格
レコーディングエンジニアになるために特別な免許や資格は必要ありません。
しかし、以下の資格を持っていると、就職・転職時にレコーディングエンジニアとしての力量を客観的に示せるので、取得しておくのがおすすめです。
サウンドレコーディング技術認定試験
サウンドレコーディング技術認定試験とは、レコーディングエンジニアとしての技術やスキルを認定する、一般社団法人日本音楽スタジオ協会の民間資格です。
高卒以上か同等の学力があれば、誰でも受験できます。
レコーディングに必要な知識や技術、レコーディングスタジオの機材、デジタルツールなどに関する問題が出題され、試験の成績によってA~Eランクで判定される点が特徴です。
試験後、認定証と成績証明書が発行されるため、高いランクの成績を取得しておけば、就職、転職時に有利です。
Pro Tools技術認定試験
Pro Tools技術認定試験とは、世界標準のDAWであるDigidesign社のPro Toolsの技術やスキルを認定する一般社団法人日本音楽スタジオ協会による民間資格です。
こちらも高卒以上か、同等の学力があれば受験できます。
試験結果はA~Eランクで評価され、認定証と成績証明書が発行されます。
多くのレコーディングスタジオで使われているPro Toolsの技術やスキルが客観的に証明できるため、できるだけ高い成績を取得しておきたいところです!
また、試験を受験することで自身の強みや弱みを把握でき、今後の注力ポイントが明確になります。
レコーディングエンジニアに向いている人の特徴
レコーディングエンジニアに向いているのは、さまざまな音楽に興味があり、新しい知識を貪欲に取り入れられる方です!
多くのジャンルの音楽や映像の現場に対応しなくてはいけないため、幅広い音楽の知見がなければ、レコーディングエンジニアの仕事は務まりません。
また、多くのミュージシャンやスタッフと一緒に仕事をするため、臨機応変に対応できる能力やコミュニケーション能力が高い方も、レコーディングエンジニアに向いています。
特に自身がミュージシャンやMAスタジオのスタッフだった方は、その経験を活かしやすい職種だといえます。
名曲を生み出すために欠かせない存在
レコーディングエンジニアは、CDやDVDといった音楽ソフトのレコーディングやライブ、MAの現場に欠かせない存在です。
レコーディングや音楽の豊富な知識やスキルが求められますが、名曲や名演が生まれる現場に直接携われるやりがいのある職種といえます!
ぜひ、レコーディングエンジニアになって、名曲を生み出す瞬間に立ち会っていただければ何よりです。
なお、これからレコーディングエンジニアをめざす方は、専門学校でプロによる授業とプロスペックの機材を使って総合的に知識や技術を高めることもひとつの方法です。
SHOW!のサウンドクリエイター科は、レコーディングエンジニアに必要な知識やスキルを効率よく身につけることが可能です!
レコーディングコースでは、現役レコーディングエンジニアによる実践的な授業で、業界最先端のミキシング・レコーディング技術を習得できます。マイクのセッティングから録音、ミキシングまでを校内にあるプロスペックなレコーディングスタジオで行います。
この記事でレコーディングエンジニアに興味が沸いた方は、ぜひ以下をチェックしてみてください。
サウンドクリエイター科ってこんな感じ▼
https://youtube.com/shorts/Ap9Z6TTAf60?feature=share